自らのアイデンティティをどこに求めるべきか___、
もしも生を受けたこの国に求めることができたならばそれは幸福なことではないでしょうか。
さて、久しぶりにインスタントラーメンブームが到来しまして、マルタイからサッポロ一番塩ラーメンまで攻めていたら、塩分過多で見事に足がむくみ倒しております。
そんな足を引きずりながらでも、朝日を浴びて通りに出ます。透き通るようにちょうどよく冷えた秋の空気を目いっぱいに吸い込めば、不思議と傷んだ肺でも十分に濃厚な空気を吸うことができます。1年を通してどの季節が一番かと聞かれれば、多すぎることもなく少ないわけでもない年齢に思いを馳せながら、秋と迷わず答えることができるであろう、今日このごろです。変わらず元気に過ごしております。
さて、それでは今回も表現組み立て訓練、“表組”の第三回です。
表組テーマ(3):天皇制はどんな影響を及ぼす?
わたしなりに平たく言えば、“日本最大最古のアイドル”。堅苦しく言えば、“日本らしさを代弁せし生きしるべ(標)”とでもなるでしょうか。少し違和感を持たれるかもしれません。そして事実に即して教科書的にいえば、“日本国の象徴であり日本国民統合の象徴”、その人が天皇陛下、天皇制という制度です。
日本国民にとって天皇陛下は、国内外に対してパワーを持ち、実際に多大な影響力を発揮されています。とはいえ、日常生活の中、しかもこの令和の世において国民一人一人がそれほど強く意識することはないでしょう。象徴ですから、政治において及ぼすのは儀礼的な作用だけです。各家庭で登場するのもごく稀であり、お姿をみるのもテレビの中だけにとどまるのが一般的です。しかしながら皆さんなんとなくですが、天皇陛下は偉く高貴な存在として認識されてはいませんか?このように国内においては、普段は遠い存在でありながら、無意識的に畏敬の念を抱かれる対象であり、しかも世代を超えて向けられるというのは天皇陛下をおいて他にはなかなかありません。
さらにたどれば天皇陛下の歴史はどの国の王よりも古く、外国のどの国々の主賓クラスからも対等以上に一目置かれることで、国外においては外公的作用まで持ちます。このように儀式や外交演説、あるいは有事の際のお姿は、我々日本人としての培ってきた姿勢を体現されることとなります。そしてそれらの行いは公権力(実力)ではないことで、道徳的支柱(見本や標)としての影響力がより引き立てられているのです。
ところで、そうした国民の心と天皇陛下の距離感についてのエピソードがあります。過去には公権力を持って政治の中心として君臨していた頃のお住まいである京都御所へ行ったときのお話です。聞くとこの地にはその国の最高権力者の住まいとして普通では考えられないことに“あるもの”が無いのです。それは“塀”、つまり守りの設備です。国内外の古城を想像するとわかりやすいですが、はたしてなぜなのでしょうか、理由は極めてシンプルです。それは民衆から反乱が起きて攻められる心配がないからです。古今東西、その国の長は例外なく民衆から殺されるのが歴史の常である我々人間という生き物にもかかわわず…。このことからも天皇制がいかに広く国民の心に根ざした独自性をもっているか、その歴史の深さを際立たせる事実といえるでしょう。
自らのアイデンティティをどこに求めるべきか、あらゆる境界線に迷走するこのグローバルな世界となりました。海外諸国や他民族との違いをもしも生を受けたこの国に求めることができたならばそれは幸福なことではないでしょうか。そして幸運なことに歴史をひも解けばそんな誇りを持つに十分な対象が、この国だけにわたしたちの命と同じように受け継がれ存在しています。天皇家内部からのストライキのようなことが発生しない限りはきっと天皇制はいずれかの形で続いていくことでしょう。これから様々な価値観がバラバラに分化していく一方で、1つ共通の拠り所となり得る天皇制の貢献力はますます増していくと予想します。
さてこうして今改めて次のようにお聞きになっても冒頭程の違和感は薄れているのではないでしょうか。天皇陛下は利害や世俗を超越した全世代間を惹きつける“アイドル”であり、“代弁者”であり、また“しるべ(標)”としてこれからも在り続けるでしょう、と。
以上
何かのニュースでふと天皇陛下のお姿を拝見したときに、ふと思いついたテーマでした。決して天皇陛下万歳!!!というような熱狂的な信者でも、アンチであるわけでもありません。ただ、自分の国の歴史についてちょっと腰を据えて考えてみたことがあっただろうか、という気になったのです。日常の何気ないことを、それとなく取り上げて考えてみると意外な自分の一面や、これまでの人生で得た経験則のようなものを掘り起こすことができるのではないでしょうか。コーヒーを片手に添えれば、それだけで1本映画をみるぐらいのエキサイトトリップをなんというリーズナブルで味わえることでしょうか(笑)。
どうぞお試しあれ。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
ではまた。